仕事帰りの電車の中、何度目か分からないが&color(red){絶薬};5巻を読み終える。
 
 この本には実に良い&ruby(はなし){薬};が載っているのだけれど、僕自身にはなかなか効いてこない。
 
 頭で理解はできていても、やっぱりいざとなると人間「楽」な方に流れていってしまう。「楽しく」生きる事よりも、自堕落に生きる方が「楽」なんだもの。
 
 それでも、やっぱり「それじゃダメだろう」っていう自分も居る訳で、「何のために生きているのか」って&ruby(テスト){問い};が頭の中で抗議を上げ始めるんだ。
 
 元々、今のような仕事に就くことになったきっかけは、幼少の頃に家にあったゲーム機だ。MSXと言う名のそれは子供の自分に多大な影響を与えた。その機械は自分でプログラミングする事で、別なゲームをする事も出来た。自分で作ったゲーム。
 
 それが高じて、すぐにこう思うようになった「自分でゲームを作りたい」。自分で作ったゲームを楽しみたいという、箱庭創造的な、実に利己的な欲求が根本だろう。それが少しの時を経ることで、「自らの存在を知らしめたい」という、多くの人間が抱くであろう欲望と結びついて、膨れ上がっていった。
 
 だが、困ったことに自分は「諦める」事が簡単に出来てしまう人間だった。欲望を抑え、こう思い込むことにした。「誰にでもで無くてもいい。誰かに楽しんで貰えれば(誰かのためになれば)良い」と。
 
 それでも深層には例の欲望が漂い続けている訳だが。所詮は自分への言い訳に過ぎない訳だが。
 しかしながら、「誰かのためになる」事は、ささやかながらも素直に「嬉しい」と思える自分に、少しばかりの希望を抱いている今日この頃。
 
 この「絶望に効く薬」は、そんな自分でも本気で人に勧められる本だ。
 相変わらず、上手い薦め方が出来ないけれど、何かに躓いた時、壁にぶち当たった時、そんな時に、どうすればいいか分からなくなったら読んでみるといいと思う。きっと、転がった痛みを和らげてくれる作用が有る。
 
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Top / 水無月神魔 / 2005 / 11 / 14
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