最萌支援/美鈴支援(2回戦)
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[[最萌支援]]/[[最萌トーナメント:http://www.kitanet.ne.jp/...
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試合開始15分前……[弓削 遙控え室]
----
「っっ!!」
控え室の一つ。“弓削 遙”の部屋から、くぐもった声が漏れる。
声は、陰陽頭“土御門 紗綾”の発するものだった。彼女の両手、...
裸ではなかったが、大事な部分には全て禍魂が取り付き、妖し...
口にまで進入されているせいでくぐもった声しか上げる事の出...
彼女らは、遙の玩具(おもちゃ)の一部である。この大会で手に...
禍魂のおぞましい感触に身を捩らせる光景に、いつもならばさ...
不遜、不敵な筈の彼女であろうとも、次の戦いに対しては虚心...
(一体、どういうことだ。)
二日前、二回戦の選手紹介の時に見た美鈴は、それまでとは違...
屈辱であった。完全に見下していた相手に気圧されたのだ。そ...
カーン…カーン…
鐘が鳴る。戦いが迫っている事を示す鐘が。
足に舌を這わせていた琴音が、身を離す。直後、遙は立ち上が...
「遙さま。いかが……いたしましょう?」
琴音の問いは、禍魂に解放され、ぐったりとしている紗綾の処...
心の読めるこの少女は、声に出す必要も、身振りや目配せすら...
もちろん、今のような苛つきを読まれてしまっては困るので、...
「あの様な失態を晒した者など構わぬ。壊れるまで犯した後、...
その琴音に、あえて声に出して答えた理由は、後ろの紗綾にも...
「ゆ…許して下さい!お許しを……お情けを!」
声を無視し、廊下へと出る遙。琴音が扉を閉じ始める。
「遙様っ!お願いします!……イヤぁ…いやぁぁぁっ!」
扉が閉まり、遙に届く絶叫はその音量を下げる。数秒、そこに...
----
----
同時刻……[厳島 美鈴控え室]
----
控え室の中央で、“厳島 美鈴”は一人佇んでいた。椅子に腰掛け...
弓削 遙は気づいていなかったが、美鈴は一回戦の時の結巫女の...
美鈴は、内に宿る力を感じていた。彼女が背負った、想いの力...
トーナメント予選に於いて、彼女の「理想」に賛同してくれた...
この事は迷いとなって美鈴の気に翳りを落としていた。自分は...
ひとり、自問を繰り返す美鈴の心の壁を取り去ったのが、その...
カーン…カーン…
鐘が鳴る。戦いが迫っている事を示す鐘が。
祓串を手に、控え室を発つ。視線の向こうにあるものを見据え...
----
----
試合開始8分前……[選手入場口・白虎]
----
廊下を歩み、戦いの舞台、その入り口へと向かう遙。と、そこ...
符術師“呉 瑛礼”、仙女“瑪瑙”。共に阿羅耶識の幹部のひとりで...
尤も、遙に言わせれば「古くさい戦略戦術を戦わせるだけの頭...
「弓削 遙……よもやとは思うが、裏切り者の美鈴如きに負けるな...
そんな呉 瑛礼の言葉に、鋭く切り返す。
「言われなくとも判っておるわ。それより、己の身を心配した...
「貴様っ。」
瑛礼の視線と遙の視線が激しく交差する。と、瑪瑙が間に割っ...
「まあまあ、二人とも。こんな所で気を散らしている場合では...
それでも、少しの間だけ睨み合いが続いたが、遙が瑪瑙の方に...
「いくら貴方といえども、厳島 美鈴の前では虚心には居られな...
そう言って、遙に差し出した。差し出された勾玉を認めると、...
「ご忠告痛み入る。……これは?」
「饒速日命より伝わる、十種の神宝のひとつだそうです。病を...
手にした勾玉の説明をする瑪瑙。瑛礼は、渡す物を渡してさっ...
「そのような物は要らぬ。私にはこの太刀と――この右手があれ...
と言って歩き始めた。
「なっ、…っ、もういい行くぞ瑪瑙。」
その背中を睨み、舌打ちすると瑪瑙を促して瑛礼もここを立ち...
その右手を強く握り、遙は一言こう呟いた。
「美鈴……容赦はせんぞ。」
----
----
同時刻……[選手入場口・青龍]
----
廊下を歩み、戦いの舞台、その入り口へと向かう美鈴。と、そ...
「持ってきたよ。美鈴ちゃん。」
差し出されたそれを受け取り、恭しく飲みほすと、そのひとの...
「ありがとう、夜羽子ちゃん。」
ヴァンピレス“夜羽子・アシュレイ”。二回戦進出を果たしてい...
優しく微笑む美鈴に、夜羽子は訊ねた。
「美鈴ちゃん……大丈夫?」
「え?」
「今日の戦い、以前は、悩んでたみたいだったから。」
心配そうな顔で美鈴を見つめる夜羽子。美鈴は入り口の方を見...
「もう、吹っ切れたから。夜羽子ちゃん、みんな……私を応援し...
真っ直ぐに、決意を宿した瞳。だが、「みんな」と言った時、...
「もう、行かないと…」
体ごと入場口へ向き直り、歩を進めようとする。その姿はいつ...
一,二歩進んだ美鈴の背に、ふわっ、と体重がかかる。後ろか...
「無理は、しないでね…。私にちからをくれて、無茶はできない...
背中に感じる体温を感じ、張り詰めた美鈴の気は、柔らかな、...
そのまま数分を過ごし、夜羽子の手を離して向き直り、夜羽子...
ふれあう唇を離し、互いに頷くと、
「それじゃ、今度こそ、行かないと。」
「うん。いってらっしゃい……続き、待ってるから」
最高に優しい笑顔を見せる。振り返ると、曇りのない決意を宿...
----
----
試合開始時刻……[舞台]
----
「青龍の方角、祓巫女“厳島 美鈴”!」
「白虎の方角、凶巫女“弓削 遙”!」
両者が舞台に姿を見せると、大きな歓声が上がる。
互いに視線を交差させ、舞台の中央へ歩を進める。
「制限時間は138分、対戦相手を降伏、または死亡させるか…...
お決まりのレフェリーの台詞を聞き流し、遙が口を開く。
「その姿…まさか全力でない貴様と戦う事になるとはな。嘗めら...
「それは…貴女とて同じ事でしょう?」
ふん、遙は鼻で嗤った。これはハンデだ。と。
「一対一の戦いでは、貴様の全力など八割で十分だからな。だ...
「始めなければ、わからないものですよ。」
揺らぎのない瞳が、遙を見つめる。口ではこう言っていたが、...
「……及び場外の相手に対する攻撃、りせっとちゃんの使用は認...
レフェリーが禁止事項を詠み上げる間、二人の視線は互いの眼...
「……両者よろしいですね?では、所定の位置へ……。それでは只...
祓串を、七支刀を構える。美鈴は、ただ祓串を前に向けた形を...
----
「試合……開始ぃぃぃぃぃっっっっっ!!!!!」
----
ゴウゥゥゥゥン…………
試合開始を告げる鐘が鳴る。と同時に、弓削 遙が駆ける。試合...
目前、1メートル程まで近づいた遙は、太刀を大きく振りかぶ...
後ろに跳んだ。同時に、先程踏み込もうとしていた領域、美鈴...
「くっ……」
ただ祈るだけでここまでの気を……。苦々しさを感じながら、遙...
「だが、そのような護りの気で、私を倒す事は適わんぞ!」
再び七支刀を構えると、美鈴のそれとは対称的な、黒い、禍々...
美鈴は、祓串を眼前に構えると、眼を閉じ、意識を集中し始め...
遙の体を覆った黒い気は構えた太刀に絡みつくように蠢いた。...
少しずつ、少しずつ持ち上がってゆく美鈴の両手の中で、光が...
「何をするつもりかは知らぬが、事が為る前に臓腑を抉り取っ...
手にした七支刀を突き込む形に構える。祓串を掲げる美鈴の姿...
「………っ」
手にした祓串を掲げ、そこに集まった気に意識を集中させる。...
ゴァァァッ!
七支刀に絡みついた気――凶暴で、強大な禍魂が咆吼を上げる。
ィィィィ……
祓串に集まった光の気――清浄で、強大な神気が輝きを増す。
咆吼を上げた気が、七支刀の先に集い、遙の得物は、二倍の黒...
一気に間合いが詰まる。光輝は美鈴の手の内で未だその形を整...
(取った!)
美鈴は間に合わない。黒い刀身が美鈴の玉のような肌を貫くの...
ガキィッッ!
遙の禍刀が舞台を抉る。前につんのめる体を押しとどめ、黒く...
祓串を打ち下ろし、神気によって禍刀を弾いた美鈴は、再び祓...
構えた神気の剣は小刀程度の長さでしかない。まだ間合いでは...
「はーっ!!」
気合一閃。踏み込むと同時に上段に構えた祓串を振り下ろす。...
オオオォォォォ……………
切り裂かれる苦しみに、禍魂が唸りを上げる。美鈴の振り下ろ...
「くっ……はぁっ!」
剣を握る手に力を込める、荒魂の巫女と同等の力を示し、透明...
(…!?馬鹿なっ!)
咆吼を上げる禍魂と、打ち下ろされた気とは現在、拮抗した状...
冷や汗が額を伝う。少しずつ剣を押し込んでくる美鈴の表情は...
ぎりぎりと得物を押し込んでゆく美鈴。剣の使い手同士の戦い...
必死の遙が、その隙を見逃す筈が無い。美鈴の右足に体重が偏...
バシュッ
美鈴の、その清らかな足に絡みついた禍魂は一瞬で浄化され、...
バランスを崩す事で生じた隙に遙は太刀の柄の方だけを持ち上...
ギャジャッ!
美鈴の刃と遙の禍魂が擦れ合い、大きな音を立てる。死の刃か...
呼吸を整えた遙は、神剣を、そして、見えない剣を携える美鈴...
体勢を立て直した美鈴は、七支刀を手にし、禍魂を従える遙を...
互いの視線が交差する。
「貴様、その力……余程佳い御酒を口にしたようだな。」
神々しい光を纏う美鈴の先程の力の源を言い当てる遙。美鈴の...
(遠くから……夜羽子ちゃんに、持ってきてもらったものだもの...
美鈴にとって、力となる佳きものであるのは当然の事だった。...
「まあ、それはいい……。だが何だ、貴様の手にあるそれは!」
美鈴の携える神剣、いや、その先にある見えない切っ先を指差...
「何故貴様が、サイコソードなど!」
響めき。E.G.O.や、戦闘経験の多い者は気づいていたが、会場...
一歩、前へ進み、美鈴が答える。
「私は、一人ではありません。」
神剣を、サイコソードの切っ先を真正面――遙へ向ける。
「私は、私を信じてくれるひとの想いと共にここに在ります。」
小刀ほどの大きさに留まっていた光が、その大きさを、強さを...
「だから私は、そのひとたちの信じた物の為、そのひとたちの...
光は、サイコソードを包み込み、一本の刀となった。完全な姿...
「成る程。そういう事か。」
その光を見つめ、遙が呟いた。
「……確かに、彩り鮮やかだ。だがな美鈴。貴様のそれには美し...
遙の体から、禍魂ではない、赤の気が生まれ、彼女を覆う。
「見よ、この調和のとれた美しい光を。…所詮他など、従えれば...
語気を荒げ、一歩前へ踏み出した時、遙に異変が起きた。
「っ…く、しぃ……ああっ!?」
言葉を詰まらせ、一声叫びを上げる。同時に、七支刀から夥し...
「な…何?」
さしもの美鈴も、これには驚きを禁じ得なかった。遙を覆った...
その気は、次第に薄れ消えていったが、何処に消えたのかは、...
「即ち、貴様を犯し、殺し、我が正しき事を示してくれん!」
高らかに宣言すると、右手に持っていた太刀を左手に持ち替え...
タン、タン、ダン!!
会場全体が息を呑んだ。神刀を構え、待ち受けていた美鈴も、...
ブン!
鋭く突き込まれた太刀を、半ば偶然ながらかわす。遙を斬り捨...
ブォッ!
二撃目、鬼の様に鋭い爪を持った右手が美鈴を襲う。後ろに飛...
タン
彼女を追って、遙が跳ぶ。構えた七支刀に、先程とは比べもの...
その気が、美鈴の頭をめがけて伸びる。神刀を翳すが、8つの...
祓巫女の頭部が禍神によって破壊されるかに見えたその時、信...
着地すると同時に、噛み砕かれた禍魂は、神刀によって受け止...
「アーーーーッ!」
大きく吼える美鈴。その瞳には紅い光が宿っている。
「そうか……サイコソードを出した割には長く動けると思ってい...
左に八岐大蛇を従え、右手に鬼の手を持ち、禍神をまだ制御し...
「やれる物ならやってみなさい……想いと共に受け取ったこの力...
想いを剣に変え、誓いを血に流し、信念を身に纏う祓巫女が叫...
両者、じりじりと間合いを詰める。
----
どちらも、動かない。ただ距離だけが縮まってゆく。
----
少しずつ、少しずつ。
----
互いが、間合いに入るまで。
----
互いが、間合いに入ったその瞬間、
----
「はあぁっ!」「てゃぁぁっ!」
----
死闘の、真実の開始が告げられた――――。
RIGHT:Written by [[4MBs:水無月神魔]]
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-[[4MBs:水無月神魔]] &new{2003-05-07 (水) 02:15:08};
~見たら分かるとは思いますが、上のは実際に投下した物を整形...
-[[4MBs:水無月神魔]] &new{2003-05-12 (月) 01:54:51};
~とりあえず2chに投稿した時の[[原文:http://www.4mbs.net/Aq...
-[[4MBs:水無月神魔]] &new{2003-05-17 (土) 22:06:27};
~遥と琴音の関係については、[[2ch萌えスレSage2(過去ログ):h...
#comment
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#vote(面白い,まあまあ,フーン,面白くない,不快だ)
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[[最萌支援]]/[[最萌トーナメント:http://www.kitanet.ne.jp/...
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試合開始15分前……[弓削 遙控え室]
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「っっ!!」
控え室の一つ。“弓削 遙”の部屋から、くぐもった声が漏れる。
声は、陰陽頭“土御門 紗綾”の発するものだった。彼女の両手、...
裸ではなかったが、大事な部分には全て禍魂が取り付き、妖し...
口にまで進入されているせいでくぐもった声しか上げる事の出...
彼女らは、遙の玩具(おもちゃ)の一部である。この大会で手に...
禍魂のおぞましい感触に身を捩らせる光景に、いつもならばさ...
不遜、不敵な筈の彼女であろうとも、次の戦いに対しては虚心...
(一体、どういうことだ。)
二日前、二回戦の選手紹介の時に見た美鈴は、それまでとは違...
屈辱であった。完全に見下していた相手に気圧されたのだ。そ...
カーン…カーン…
鐘が鳴る。戦いが迫っている事を示す鐘が。
足に舌を這わせていた琴音が、身を離す。直後、遙は立ち上が...
「遙さま。いかが……いたしましょう?」
琴音の問いは、禍魂に解放され、ぐったりとしている紗綾の処...
心の読めるこの少女は、声に出す必要も、身振りや目配せすら...
もちろん、今のような苛つきを読まれてしまっては困るので、...
「あの様な失態を晒した者など構わぬ。壊れるまで犯した後、...
その琴音に、あえて声に出して答えた理由は、後ろの紗綾にも...
「ゆ…許して下さい!お許しを……お情けを!」
声を無視し、廊下へと出る遙。琴音が扉を閉じ始める。
「遙様っ!お願いします!……イヤぁ…いやぁぁぁっ!」
扉が閉まり、遙に届く絶叫はその音量を下げる。数秒、そこに...
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同時刻……[厳島 美鈴控え室]
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控え室の中央で、“厳島 美鈴”は一人佇んでいた。椅子に腰掛け...
弓削 遙は気づいていなかったが、美鈴は一回戦の時の結巫女の...
美鈴は、内に宿る力を感じていた。彼女が背負った、想いの力...
トーナメント予選に於いて、彼女の「理想」に賛同してくれた...
この事は迷いとなって美鈴の気に翳りを落としていた。自分は...
ひとり、自問を繰り返す美鈴の心の壁を取り去ったのが、その...
カーン…カーン…
鐘が鳴る。戦いが迫っている事を示す鐘が。
祓串を手に、控え室を発つ。視線の向こうにあるものを見据え...
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試合開始8分前……[選手入場口・白虎]
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廊下を歩み、戦いの舞台、その入り口へと向かう遙。と、そこ...
符術師“呉 瑛礼”、仙女“瑪瑙”。共に阿羅耶識の幹部のひとりで...
尤も、遙に言わせれば「古くさい戦略戦術を戦わせるだけの頭...
「弓削 遙……よもやとは思うが、裏切り者の美鈴如きに負けるな...
そんな呉 瑛礼の言葉に、鋭く切り返す。
「言われなくとも判っておるわ。それより、己の身を心配した...
「貴様っ。」
瑛礼の視線と遙の視線が激しく交差する。と、瑪瑙が間に割っ...
「まあまあ、二人とも。こんな所で気を散らしている場合では...
それでも、少しの間だけ睨み合いが続いたが、遙が瑪瑙の方に...
「いくら貴方といえども、厳島 美鈴の前では虚心には居られな...
そう言って、遙に差し出した。差し出された勾玉を認めると、...
「ご忠告痛み入る。……これは?」
「饒速日命より伝わる、十種の神宝のひとつだそうです。病を...
手にした勾玉の説明をする瑪瑙。瑛礼は、渡す物を渡してさっ...
「そのような物は要らぬ。私にはこの太刀と――この右手があれ...
と言って歩き始めた。
「なっ、…っ、もういい行くぞ瑪瑙。」
その背中を睨み、舌打ちすると瑪瑙を促して瑛礼もここを立ち...
その右手を強く握り、遙は一言こう呟いた。
「美鈴……容赦はせんぞ。」
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同時刻……[選手入場口・青龍]
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廊下を歩み、戦いの舞台、その入り口へと向かう美鈴。と、そ...
「持ってきたよ。美鈴ちゃん。」
差し出されたそれを受け取り、恭しく飲みほすと、そのひとの...
「ありがとう、夜羽子ちゃん。」
ヴァンピレス“夜羽子・アシュレイ”。二回戦進出を果たしてい...
優しく微笑む美鈴に、夜羽子は訊ねた。
「美鈴ちゃん……大丈夫?」
「え?」
「今日の戦い、以前は、悩んでたみたいだったから。」
心配そうな顔で美鈴を見つめる夜羽子。美鈴は入り口の方を見...
「もう、吹っ切れたから。夜羽子ちゃん、みんな……私を応援し...
真っ直ぐに、決意を宿した瞳。だが、「みんな」と言った時、...
「もう、行かないと…」
体ごと入場口へ向き直り、歩を進めようとする。その姿はいつ...
一,二歩進んだ美鈴の背に、ふわっ、と体重がかかる。後ろか...
「無理は、しないでね…。私にちからをくれて、無茶はできない...
背中に感じる体温を感じ、張り詰めた美鈴の気は、柔らかな、...
そのまま数分を過ごし、夜羽子の手を離して向き直り、夜羽子...
ふれあう唇を離し、互いに頷くと、
「それじゃ、今度こそ、行かないと。」
「うん。いってらっしゃい……続き、待ってるから」
最高に優しい笑顔を見せる。振り返ると、曇りのない決意を宿...
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試合開始時刻……[舞台]
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「青龍の方角、祓巫女“厳島 美鈴”!」
「白虎の方角、凶巫女“弓削 遙”!」
両者が舞台に姿を見せると、大きな歓声が上がる。
互いに視線を交差させ、舞台の中央へ歩を進める。
「制限時間は138分、対戦相手を降伏、または死亡させるか…...
お決まりのレフェリーの台詞を聞き流し、遙が口を開く。
「その姿…まさか全力でない貴様と戦う事になるとはな。嘗めら...
「それは…貴女とて同じ事でしょう?」
ふん、遙は鼻で嗤った。これはハンデだ。と。
「一対一の戦いでは、貴様の全力など八割で十分だからな。だ...
「始めなければ、わからないものですよ。」
揺らぎのない瞳が、遙を見つめる。口ではこう言っていたが、...
「……及び場外の相手に対する攻撃、りせっとちゃんの使用は認...
レフェリーが禁止事項を詠み上げる間、二人の視線は互いの眼...
「……両者よろしいですね?では、所定の位置へ……。それでは只...
祓串を、七支刀を構える。美鈴は、ただ祓串を前に向けた形を...
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「試合……開始ぃぃぃぃぃっっっっっ!!!!!」
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ゴウゥゥゥゥン…………
試合開始を告げる鐘が鳴る。と同時に、弓削 遙が駆ける。試合...
目前、1メートル程まで近づいた遙は、太刀を大きく振りかぶ...
後ろに跳んだ。同時に、先程踏み込もうとしていた領域、美鈴...
「くっ……」
ただ祈るだけでここまでの気を……。苦々しさを感じながら、遙...
「だが、そのような護りの気で、私を倒す事は適わんぞ!」
再び七支刀を構えると、美鈴のそれとは対称的な、黒い、禍々...
美鈴は、祓串を眼前に構えると、眼を閉じ、意識を集中し始め...
遙の体を覆った黒い気は構えた太刀に絡みつくように蠢いた。...
少しずつ、少しずつ持ち上がってゆく美鈴の両手の中で、光が...
「何をするつもりかは知らぬが、事が為る前に臓腑を抉り取っ...
手にした七支刀を突き込む形に構える。祓串を掲げる美鈴の姿...
「………っ」
手にした祓串を掲げ、そこに集まった気に意識を集中させる。...
ゴァァァッ!
七支刀に絡みついた気――凶暴で、強大な禍魂が咆吼を上げる。
ィィィィ……
祓串に集まった光の気――清浄で、強大な神気が輝きを増す。
咆吼を上げた気が、七支刀の先に集い、遙の得物は、二倍の黒...
一気に間合いが詰まる。光輝は美鈴の手の内で未だその形を整...
(取った!)
美鈴は間に合わない。黒い刀身が美鈴の玉のような肌を貫くの...
ガキィッッ!
遙の禍刀が舞台を抉る。前につんのめる体を押しとどめ、黒く...
祓串を打ち下ろし、神気によって禍刀を弾いた美鈴は、再び祓...
構えた神気の剣は小刀程度の長さでしかない。まだ間合いでは...
「はーっ!!」
気合一閃。踏み込むと同時に上段に構えた祓串を振り下ろす。...
オオオォォォォ……………
切り裂かれる苦しみに、禍魂が唸りを上げる。美鈴の振り下ろ...
「くっ……はぁっ!」
剣を握る手に力を込める、荒魂の巫女と同等の力を示し、透明...
(…!?馬鹿なっ!)
咆吼を上げる禍魂と、打ち下ろされた気とは現在、拮抗した状...
冷や汗が額を伝う。少しずつ剣を押し込んでくる美鈴の表情は...
ぎりぎりと得物を押し込んでゆく美鈴。剣の使い手同士の戦い...
必死の遙が、その隙を見逃す筈が無い。美鈴の右足に体重が偏...
バシュッ
美鈴の、その清らかな足に絡みついた禍魂は一瞬で浄化され、...
バランスを崩す事で生じた隙に遙は太刀の柄の方だけを持ち上...
ギャジャッ!
美鈴の刃と遙の禍魂が擦れ合い、大きな音を立てる。死の刃か...
呼吸を整えた遙は、神剣を、そして、見えない剣を携える美鈴...
体勢を立て直した美鈴は、七支刀を手にし、禍魂を従える遙を...
互いの視線が交差する。
「貴様、その力……余程佳い御酒を口にしたようだな。」
神々しい光を纏う美鈴の先程の力の源を言い当てる遙。美鈴の...
(遠くから……夜羽子ちゃんに、持ってきてもらったものだもの...
美鈴にとって、力となる佳きものであるのは当然の事だった。...
「まあ、それはいい……。だが何だ、貴様の手にあるそれは!」
美鈴の携える神剣、いや、その先にある見えない切っ先を指差...
「何故貴様が、サイコソードなど!」
響めき。E.G.O.や、戦闘経験の多い者は気づいていたが、会場...
一歩、前へ進み、美鈴が答える。
「私は、一人ではありません。」
神剣を、サイコソードの切っ先を真正面――遙へ向ける。
「私は、私を信じてくれるひとの想いと共にここに在ります。」
小刀ほどの大きさに留まっていた光が、その大きさを、強さを...
「だから私は、そのひとたちの信じた物の為、そのひとたちの...
光は、サイコソードを包み込み、一本の刀となった。完全な姿...
「成る程。そういう事か。」
その光を見つめ、遙が呟いた。
「……確かに、彩り鮮やかだ。だがな美鈴。貴様のそれには美し...
遙の体から、禍魂ではない、赤の気が生まれ、彼女を覆う。
「見よ、この調和のとれた美しい光を。…所詮他など、従えれば...
語気を荒げ、一歩前へ踏み出した時、遙に異変が起きた。
「っ…く、しぃ……ああっ!?」
言葉を詰まらせ、一声叫びを上げる。同時に、七支刀から夥し...
「な…何?」
さしもの美鈴も、これには驚きを禁じ得なかった。遙を覆った...
その気は、次第に薄れ消えていったが、何処に消えたのかは、...
「即ち、貴様を犯し、殺し、我が正しき事を示してくれん!」
高らかに宣言すると、右手に持っていた太刀を左手に持ち替え...
タン、タン、ダン!!
会場全体が息を呑んだ。神刀を構え、待ち受けていた美鈴も、...
ブン!
鋭く突き込まれた太刀を、半ば偶然ながらかわす。遙を斬り捨...
ブォッ!
二撃目、鬼の様に鋭い爪を持った右手が美鈴を襲う。後ろに飛...
タン
彼女を追って、遙が跳ぶ。構えた七支刀に、先程とは比べもの...
その気が、美鈴の頭をめがけて伸びる。神刀を翳すが、8つの...
祓巫女の頭部が禍神によって破壊されるかに見えたその時、信...
着地すると同時に、噛み砕かれた禍魂は、神刀によって受け止...
「アーーーーッ!」
大きく吼える美鈴。その瞳には紅い光が宿っている。
「そうか……サイコソードを出した割には長く動けると思ってい...
左に八岐大蛇を従え、右手に鬼の手を持ち、禍神をまだ制御し...
「やれる物ならやってみなさい……想いと共に受け取ったこの力...
想いを剣に変え、誓いを血に流し、信念を身に纏う祓巫女が叫...
両者、じりじりと間合いを詰める。
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どちらも、動かない。ただ距離だけが縮まってゆく。
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少しずつ、少しずつ。
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互いが、間合いに入るまで。
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互いが、間合いに入ったその瞬間、
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「はあぁっ!」「てゃぁぁっ!」
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死闘の、真実の開始が告げられた――――。
RIGHT:Written by [[4MBs:水無月神魔]]
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-[[4MBs:水無月神魔]] &new{2003-05-07 (水) 02:15:08};
~見たら分かるとは思いますが、上のは実際に投下した物を整形...
-[[4MBs:水無月神魔]] &new{2003-05-12 (月) 01:54:51};
~とりあえず2chに投稿した時の[[原文:http://www.4mbs.net/Aq...
-[[4MBs:水無月神魔]] &new{2003-05-17 (土) 22:06:27};
~遥と琴音の関係については、[[2ch萌えスレSage2(過去ログ):h...
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